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メシアに至る道筋
人類が罪に陥ったとき、神は人類を救う手立てとして「女の胤」を出現させることを明らかにしました。
では人類を窮境から救う「女の胤」つまりメシアはどのように明らかになっていったのでしょうか。
アブラハムの登場
人類が罪に陥ってから約2000年後繁栄していたウルと言う地でアブラハムが誕生します。
アブラハムは非常に優れた人物となり真の神を崇拝していました。
そのアブラハムに神の命令が下り、繁栄していたウルの地を離れ地中海に面するカナンに旅立つように言われます。
アブラハムは神の命令に従い、親族と共に旅立ちカナンに定着します。

アブラハムの旅路
アブラハムに子供はいませんでした。
アブラハムは老齢になりあきらめていましたが、神の祝福によって遂に待ちに待った待望の独り子イサクが誕生します。
しかしアブラハムに神への信仰が試される過酷な命令が下ります。
聖書は次のように述べています。
神は言った。「どうか,あなたの子,あなたが深く愛する一人息子のイサクを連れてモリヤの地に行き,私が指定する山の上で,彼を捧げ物として捧げなさい」。 創世記 22:2
なんと言うことでしょう。イサクを犠牲にすることが求められたのです。
アブラハムにとっては自分の命が取られるより辛かったに違いありません。
しかしアブラハムは神の命令に従います。そして今のエルサレムであるモリア山に向かいます。
祭壇を造りイサクをそこに横たえ、ナイフを振り下ろそうとしたその瞬間、神の声がしてアブラハムの行為を止めさせます。

イサクを捧げるアブラハム (ローラン・ド・ラ・イール画)
神はアブラハムの偉大な信仰を見て次のように語られます。
『私は,私に懸けて誓う。あなたがこのようにして,自分の子,一人息子を与えることを拒まなかったので, 私はあなたを必ず祝福し,あなたの子孫を必ず,天の星や海辺の砂のように多くしよう。あなたの子孫は敵の町を攻略する。 あなたの子孫(胤)によって地上の全ての国民が祝福を受ける。あなたが私の言ったことに従ったからである』 創世記 22:16-18
「女の胤」 の系図として アブラハムが選ばれたことを明らかにします。
アブラハムの後、イサク、ヤコブと続いていきます。
ヤコブはイスラエルとも呼ばれ、今日のイスラエル人の始祖となりました。
ヤコブには12人の息子がいましたが、誰が女の胤の系図として選ばれるのでしょうか。
それも聖書は次のように明らかにしており、妻レアの四男ユダが選ばれたことを示しています。
「ユダ,兄弟たちはあなたを称賛する。あなたの手は敵の首を押さえる。あなたの父の子たちはあなたの前でひれ伏す。ユダはライオンの子。ユダ,あなたは必ず獲物の所から立ち上がる。ライオンのように身をかがめ,身を伸ばした。ライオンを誰があえて起こすだろうか。王笏(つまり王権)はユダから離れず,司令官のつえも足の間から離れない。ついにシロ(王権を持つもの つまり メシア)が来て,あらゆる民が彼に従う。 」 創世記 49:8-10
ダビデの王国
それから約600年後ユダの家系から、ダビデが歴史の舞台に登場してきます。
彼は初代の王サウルの亡き後、イスラエルの王となり、イスラエルの黄金時代を築きます。
その時ダビデに女の胤に関する予言が次のように語られます。
「私はあなたの子孫(胤),あなたの子を立て,その人の王国を確立する。 その人こそが私の名のために家を建てる。私は彼の王国の王座が永遠に揺るがないようにする。 私は彼の父となり,彼は私の子となる。− 私は彼に揺るぎない愛を示し続ける。サウルにはそうせず,あなたの前で退けた。
あなたの王朝と王国はあなたの前で永遠に安定する。あなたの王座は永遠に揺らぐことがない。」 サムエルA7:12-16
ダビデの息子、つまりソロモン王の元でイスラエルは空前絶後の繁栄を享受します。
その時の様子を聖書は次のように描写しています。
「ソロモン王が飲み物に用いる器はみな金であった。レバノンの森の宮殿にあった器物もすべて純金であって、銀の物はなかった。銀はソロモンの時代には、価値あるものとはみなされていなかった。−−ソロモン王は、富と知恵とにおいて、地上のどの王よりもまさっていた。
全世界の者は、神が彼の心に授けられた知恵を聞こうとして、ソロモンに謁見を求めた。−王は銀をエルサレムで石のように用い、杉の木を低地のいちじく桑の木のように大量に用いた。」
列王@10:21-27
しかし繁栄は長続きしませんでした。イスラエルはその後2つに分裂します。その後北イスラエル王国はアッシリアに連れ去られ歴史の表舞台から消え去ります。
残った南のユダ王国も前607年にバビロンに連れ去られ70年にわたる捕囚を経験します。
メディア・ペルシャの王キュロスによって前537年にイスラエルの地に帰還しますが、その後も苦難の歴史を刻んでいきます。
ギリシャ、ローマなどの支配の元で苦しんでいた民は、その支配を打ち砕き、再びダビデやソロモンの時代を招来させるメシアの到来を心待ちにしていました。
メシアの到来
前6世紀に活躍した預言者ダニエルはメシアの到来する時に関して次のように予言していました。
「あなたの民と聖なる都市のために,70週が定められました。これは,違反を終わらせ,罪をなくし,過ちを償い,永遠の正しさをもたらし,幻と預言に証印を押し,最も聖なる所を神聖なものとするためです。 あなたが知って理解すべきこととして,エルサレムを修復して建て直せという命令が出されてから,指導者であるメシアが現れるまでに,7週,さらに62週があります。都市は広場も堀も修復され,建て直されますが,それは苦難の時となります。
そして,62週の後にメシアは除かれます。彼には何も残りません。
やがて来る指導者に率いられた人々が,都市と聖なる場所を滅ぼし,洪水が終わりをもたらします。終わりまで戦争があり,荒廃が定められています。
彼は多くの人のために1週の間契約の効力を保たせ,週の半ばに犠牲と供え物を終わらせます。
そして,荒廃をもたらす者が,極めて不快なものの翼に乗って来ます。全てが滅びるまで,定められた事柄が,荒廃しているものの上に降り掛かります」。 (ダニエル 7:24-27)
つまりメシアの到来に関して次のように語られています。
「エルサレムを修復して建て直せ」という命令が出されてから,指導者であるメシアが現れるまでに,7週,さらに62週があることをあきらかにしました。
ではこの7週と62週とはどのような意味でしょうか。
「エルサレムを修復して建て直せ」という命令は3度出たことが聖書に記されており、その一つが前455年です。
メシアの到来までに7週つまり7×7=49年と62週つまり62×7=434年 合わせて483年後つまり西暦29年に登場することが示されたのです。
1世紀まさにその時が満ちようとしていました。
遂にメシアの誕生という待ちに待ったその時が到来しようとしていました。神が「女の胤」に言及して約4000年が経過していました。
ダビデの家系であるヨセフとマリアに神の祝福が下ります。
マリアは神の聖霊の力によって身ごもりイエスを生みます。
その時の様子を聖書は次のように描写しています。
天使は言った。「マリア,恐れることはありません。あなたは神の恵みを得ました。 あなたは妊娠して男の子を産みます。イエスと名付けなさい。 その子は偉大な者となり,至高者の子と呼ばれます。エホバ神は父ダビデの王座を彼に与え, 彼は王としてヤコブの子孫を永久に治めます。その王国に終わりはありません」。 ルカ 1:30-33
待望のメシア 女の胤がついに誕生したのです。

西暦前2年秋 遂に待望の女の胤 メシアが誕生した。
イエスが30歳の時バプテストのヨハネからバプテスマ(水に浸されること)を受けます。
その時神の聖霊によって油注がれ、文字通り正真正銘のメシアとなられました。
まさにダニエルが予告された時間通り、29年秋のことでした。
イエスはまさにメシアとしてふさわしいものであることを奇跡、教え、行動によって示していきます。
しかし宗教指導者などの支配階級との対立が先鋭化して遂に刑柱上の死を遂げます。
イエスは刑柱上でなくなったのにメシアと言えるのでしょうか。
神の目的は潰えたのでしょうか。
メシアの死
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