イエスの預言




イエスはメシアつまり救い主だけではなく、偉大な預言者でもありました。
数多くの預言を語っていますが、そのいくつかを考慮してみましょう。

イエスの死と復活

イエスは自身が迫害され殺されることを次のように語っています。

9:15 するとイエスは言われた、「婚礼の客は、花婿が一緒にいる間は、悲しんでおられようか。しかし、花婿が奪い去られる日が来る。その時には断食をするであろう。

12:39 すると、彼らに答えて言われた、「邪悪で不義な時代は、しるしを求める。しかし、預言者ヨナのしるしのほかには、なんのしるしも与えられないであろう。
12:40 すなわち、ヨナが三日三晩、大魚の腹の中にいたように、人の子も三日三晩、地の中にいるであろう。

20:18 「見よ、わたしたちはエルサレムへ上って行くが、人の子は祭司長、律法学者たちの手に渡されるであろう。彼らは彼に死刑を宣告し、
20:19 そして彼をあざけり、むち打ち、十字架につけさせるために、異邦人に引きわたすであろう。そして彼は三日目によみがえるであろう」。
         (マタイ)

 実際、イエスは刑柱に架けられ33歳の若さで命を失いました。
しかし神の大いなる奇跡によって、三日目に甦り、その後天に昇られました。

弟子たちに対する迫害

迫害はイエスのみならず弟子たちにも波及します。そのことをイエスは次のように預言しました。

10:17 人々に注意しなさい。彼らはあなたがたを衆議所に引き渡し、会堂でむち打つであろう。
10:18 またあなたがたは、わたしのために長官たちや王たちの前に引き出されるであろう。それは、彼らと異邦人とに対してあかしをするためである。
10:19 彼らがあなたがたを引き渡したとき、何をどう言おうかと心配しないがよい。言うべきことは、その時に授けられるからである。
                  (マタイ)

実際、クリスチャン会衆が発足してまもなく、ステファノが最初の殉教を遂げます。迫害の嵐は収まらず、サウロ、後の使徒パウロも先頭に立ってクリスチャンを迫害していきます。


ペテロの殉教

弟子たちの中でも特にペテロの殉教について予言しています。
                           ペテロの磔刑 カラバッジョ

21:18 よくよくあなた(ペテロ)に言っておく。あなたが若かった時には、自分で帯をしめて、思いのままに歩きまわっていた。しかし年をとってからは、自分の手をのばすことになろう。そして、ほかの人があなたに帯を結びつけ、行きたくない所へ連れて行くであろう」。
21:19 これは、ペテロがどんな死に方で、神の栄光をあらわすかを示すために、お話しになったのである。こう話してから、「わたしに従ってきなさい」と言われた。
          (ヨハネ)

実際ペテロはローマに捕らえられ、67年頃逆さにされ刑柱に架けられたと伝えられています。

聖霊が与えられる

キリストの死によって「助けて」、つまり聖霊が与えられることを予言しました。

14:16 わたしは父にお願いしよう。そうすれば、父は別に助け主を送って、いつまでもあなたがたと共におらせて下さるであろう。
14:17 それは真理の御霊(聖霊)である。この世はそれを見ようともせず、知ろうともしないので、それを受けることができない。あなたがたはそれを知っている。なぜなら、それはあなたがたと共におり、またあなたがたのうちにいるからである。
14:18 わたしはあなたがたを捨てて孤児とはしない。あなたがたのところに帰って来る。
14:19 もうしばらくしたら、世はもはやわたしを見なくなるだろう。しかし、あなたがたはわたしを見る。わたしが生きるので、あなたがたも生きるからである。
16:7 しかし、わたしはほんとうのことをあなたがたに言うが、わたしが去って行くことは、あなたがたの益になるのだ。わたしが去って行かなければ、あなたがたのところに助け主はこないであろう。もし行けば、それをあなたがたにつかわそう。
16:8 それがきたら、罪と義とさばきとについて、世の人の目を開くであろう。

16:13 けれども真理の御霊が来る時には、あなたがたをあらゆる真理に導いてくれるであろう。それは自分から語るのではなく、その聞くところを語り、きたるべき事をあなたがたに知らせるであろう。
          (ヨハネ)

イエスが昇天してまもなくの33年のペンテコステの時、集まっていた120人の弟子たちに、大きな音と共に聖霊が注がれ、異言を語るようになりイエスをたたえます。
ここにクリスチャン会衆が発足したのです。

クリスチャン会衆の成長
クリスチャン会衆の成長に関しても予言しています。

13:31 また、ほかの譬を彼らに示して言われた、「天国は、一粒のからし種のようなものである。ある人がそれをとって畑にまくと、
13:32 それはどんな種よりも小さいが、成長すると、野菜の中でいちばん大きくなり、空の鳥がきて、その枝に宿るほどの木になる」。

13:33 またほかの譬を彼らに語られた、「天国は、パン種のようなものである。女がそれを取って三斗の粉の中に混ぜると、全体がふくらんでくる」。

13:47 また天国は、海におろして、あらゆる種類の魚を囲みいれる網のようなものである。
13:48 それがいっぱいになると岸に引き上げ、そしてすわって、良いのを器に入れ、悪いのを外へ捨てるのである。
13:49 世の終りにも、そのとおりになるであろう。すなわち、御使たちがきて、義人のうちから悪人をえり分け、
13:50 そして炉の火に投げこむであろう。そこでは泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう。
                  (マタイ)

確かにクリスチャン会衆はわずかな人数でスタートしました。しかし今や大木となり、全世界で20億を超える人々がクリスチャンであると唱えています。
しかし全てが真のクリスチャンであるわけではありません。そのことも予言の中で言及されています。


異邦人も聖徒になる
クリスチャン会衆はユダヤ人だけのものではありません。そのことも次のように予告しました。

10:16 わたしにはまた、この囲いにいない他の羊がある。わたしは彼らをも導かねばならない。彼らも、わたしの声に聞き従うであろう。そして、ついに一つの群れ、ひとりの羊飼となるであろう。
             (ヨハネ)

36年に異邦人コルネリオに聖霊が下り、最初の異邦人のクリスチャンになります。それ以後、パウロなどの尽力で地中海世界に広まり、多くの異邦人がクリスチャンになっていきます。
    

背教
背教が忍び込み、キリスト教が変質することも次のように予言されました。

13:24 また、ほかの譬を彼らに示して言われた、「天国は、良い種を自分の畑にまいておいた人のようなものである。
13:25 人々が眠っている間に敵がきて、麦の中に毒麦をまいて立ち去った。
13:26 芽がはえ出て実を結ぶと、同時に毒麦もあらわれてきた。
13:27 僕たちがきて、家の主人に言った、『ご主人様、畑におまきになったのは、良い種ではありませんでしたか。どうして毒麦がはえてきたのですか』。
13:28 主人は言った、『それは敵のしわざだ』。すると僕たちが言った『では行って、それを抜き集めましょうか』。
13:29 彼は言った、『いや、毒麦を集めようとして、麦も一緒に抜くかも知れない。
13:30 収穫まで、両方とも育つままにしておけ。収穫の時になったら、刈る者に、まず毒麦を集めて束にして焼き、麦の方は集めて倉に入れてくれ、と言いつけよう』」。

13:36 それからイエスは、群衆をあとに残して家にはいられた。すると弟子たちは、みもとにきて言った、「畑の毒麦の譬を説明してください」。
13:37 イエスは答えて言われた、「良い種をまく者は、人の子である。
13:38 畑は世界である。良い種と言うのは御国の子たちで、毒麦は悪い者の子たちである。
13:39 それをまいた敵は悪魔である。収穫とは世の終りのことで、刈る者は御使たちである。
13:40 だから、毒麦が集められて火で焼かれるように、世の終りにもそのとおりになるであろう。
13:41 人の子はその使たちをつかわし、つまずきとなるものと不法を行う者とを、ことごとく御国からとり集めて、
13:42 炉の火に投げ入れさせるであろう。そこでは泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう。
13:43 そのとき、義人たちは彼らの父の御国で、太陽のように輝きわたるであろう。耳のある者は聞くがよい。
                   (マタイ)

一世紀当時グノーシス主義など背教の種がまかれていました。しかし使徒とその教えを直接受けた人々が亡くなった後、背教は大々的なものとなっていきます。
その結果キリスト教は変質し、政治と結びつき、腐敗したものとなり、十字軍や異端審問など悪の巣窟となりました。
しかし神とキリストは不滅であり、キリスト教も不滅です。
再び真のキリスト教が広がり、真のクリスチャンが集められることになるでしょう。



イスラエルに対する艱難
イスラエルは悪くなることを予告し、遂に捕囚になることも予言しました。

11:24 汚れた霊が人から出ると、休み場を求めて水の無い所を歩きまわるが、見つからないので、出てきた元の家に帰ろうと言って、
11:25 帰って見ると、その家はそうじがしてある上、飾りつけがしてあった。
11:26 そこでまた出て行って、自分以上に悪い他の七つの霊を引き連れてきて中にはいり、そこに住み込む。そうすると、その人の後の状態は初めよりももっと悪くなるのである」。
       (マルコ)

13:34 ああ、エルサレム、エルサレム、預言者たちを殺し、おまえにつかわされた人々を石で打ち殺す者よ。ちょうどめんどりが翼の下にひなを集めるように、わたしはおまえの子らを幾たび集めようとしたことであろう。それなのに、おまえたちは応じようとしなかった。
13:35 見よ、おまえたちの家は見捨てられてしまう。わたしは言って置く、『主の名によってきたるものに、祝福あれ』とおまえたちが言う時の来るまでは、再びわたしに会うことはないであろう」。
             (ルカ)

エルサレムの治安は悪化し、ローマに敵対する勢力が力を増していきます。
遂にローマと戦うことになり、66年にはガルス将軍が、70年にはティトスが攻め寄せ遂にエルサレムは陥落し、ユダヤ人は捕虜となり流浪の民となっていきます。

神殿の破壊
エルサレムにはヤハウェの壮大な神殿が建っていました。
しかしイエスはそれが破壊され、石が石の上に残らないほどの徹底的な破壊が臨むことを予告されました。

13:1 イエスが宮から出て行かれるとき、弟子のひとりが言った、「先生、ごらんなさい。なんという見事な石、なんという立派な建物でしょう」。
13:2 イエスは言われた、「あなたは、これらの大きな建物をながめているのか。その石一つでもくずされないままで、他の石の上に残ることはないであろう」。
           (マルコ)

70年にローマのティトス将軍によってエルサレムは攻略され、神殿は徹底的に破壊されることになります。
ユダヤ戦記によると、興味深いことに当初、ティトスは神殿が壮大で美しいので残そうと腐心していました。
部下たちにも神殿を破壊することがないように命じていました。ところがその命令は守られず、一人の兵士が火を放ったため、神殿は燃えてしまいました。大量の金が溶けて石の間にしみこんでいったため、石が取りのけられて金を回収したようです。
またティトス将軍も徹底的に破壊するよう命令を下した結果、「石が石の上に残らないであろう」と予言したイエスの言葉が成就したのです。


エルサレム滅亡のしるしと復興
エルサレムが攻略される時の前兆に関しても予言しています。その予言に注意を払った人々は来たるべき艱難を逃れることが出来ました。

21:20 エルサレムが軍隊に包囲されるのを見たならば、そのときは、その滅亡が近づいたとさとりなさい。
21:21 そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げよ。市中にいる者は、そこから出て行くがよい。また、いなかにいる者は市内にはいってはいけない。
21:22 それは、聖書にしるされたすべての事が実現する刑罰の日であるからだ。
21:23 その日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、不幸である。地上には大きな苦難があり、この民にはみ怒りが臨み、
21:24 彼らはつるぎの刃に倒れ、また捕えられて諸国へ引きゆかれるであろう。そしてエルサレムは、異邦人の時期が満ちるまで、彼らに踏みにじられているであろう。

66年にガルス将軍がエルサレムを攻囲します。しかし何らかの理由でその攻囲を解き、ローマに帰還します。
ヨセフスによればその行動は不可解なものでした。あと少し攻撃すれば、エルサレムを攻略でき、犠牲も少なく占領できたようです。
しかし撤退してしまったため、ユダヤ人の間に「神の加護によってローマに勝つことが出来る」という信仰が生まれ、ローマに敵対する勢力が勢いを取り戻し、70年の破滅へとつながっていったようです。
イエスの予言に注意を払った人々は滅びが近いことを悟り、ペラなどの都市に逃れることが出来ました。
ユダヤ人は1948年にイスラエルが復興するまで流浪の民として、言い尽くせぬ苦難を味わうことになります。


    エルサレムの滅亡 Roberts Siege

  
           エルサレムへの攻撃 Francesco Hayez



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